文房具図鑑

10 歳の男の子が 100 ページに渡る手描きの文房具図鑑を作った。一般的な書籍のようなデザイン性の高さも、フォーマットもないがなぜか読みやすい。それぞれの文房具の使い心地が情熱たっぷりに紹介されていて、どれも使い心地をなんとなく想像することができてしまう。ちょくちょく挟まれるイラストも良い。
彼なりに調べたその文房具のルーツや開発秘話など、本としての情報量もかなりある。漫画で表現している小話もあり、図書館などにある漫画で読む歴史シリーズから着想を得たのかな?と推測したのだが、彼が触れることができる媒体をあらん限りのページで尽くしている点にまた情熱を感じる。それに、ペンや鉛筆の書き比べは、普通の図鑑では実現できない自由な表現だ。
現在、世の中はインターネット上でレビューをすることが一大ブームである。文章を使ったレビューでなくとも、星の数で対象へ評価は下される。人々の異なる価値観の裁量を以て下された評価を平均化したものが、評価対象の価値とイコールとなるのだ。しかし、価値観が平均化されてしまえば結局みんなが好むチェーン店のような平凡なものしか評価されなくなってしまう。その評価は本当の対象の価値ではない。
山本くんは文房具に対し、主観での評価を行っていない事がすごい / すばらしいと言える。文房具を評価するとき、必ず自分で使用し、みんなの目線に立って使い心地を考える。その文房具の使い心地も、それを使う事でみんなが得られる便利さや喜びも考えながら文房具を評している。愛情を感じる。
この目線で様々なものを見る事ができる人が増えれば、きっと生きやすく、芸術に対する考え方も変わるかもしれない。山本くんのような視点と表現に対する「相手の立場に立つ」という姿勢をまず持つ事が、芸術に関わる人においても、それ以外のひとにも現在求められている事であるように感じた。
written by : nm